構造物に吹き付けられたアスベストアスベスト(石綿)とは、繊維状の天然の鉱物です。
防火性、断熱性、防音性などに優れ、加工がしやすく安価であったため、「奇跡の鉱物」と呼ばれ、古くから建築物のさまざまな場所に使われてきました。
アスベストとセメントなどを混ぜて、天井、柱、壁などに吹き付けた「吹き付けアスベスト」や、アスベストを含んだ建築製材「スレート」がよく使われる形態です。アスベストは繊維状であるため、固定性の低い「吹き付けアスベスト」の場合、特に、アスベストの飛散が問題となります。
アスベストは、小さいもので直径が髪の毛の5000分の1という、花粉よりも小さな繊維です。
もちろん、1本1本の繊維を肉眼で見ることはできませんが、空中に飛散したアスベストは肺に吸い込まれると、肺の奥深くまで入り込みやすいのです。体内に入り込んだアスベストは、分解されずに蓄積し、長い時間をかけて細胞に刺激を与え、20年〜40年という歳月ののち、中皮腫などのガンを発症させる恐れがあります。
こうした発ガン性が認められたあと、段階的に規制が進み、1975年に吹き付けアスベストが原則禁止に、 2004年にスレート等を含む全てのアスベスト製品の使用が禁止されました。 特に1975年以前の建物に使用されている例が多く、空気中に繊維の飛散しやすい吹き付けアスベストは、除去の必要があります。